AIの70年
2026年は、人工知能(AI)研究が正式に始動した歴史的な瞬間、1956年のダートマス会議から70周年という記念すべき節目を迎える。この70年間、AIは期待と幻滅の波を乗り越え、ついに人類の創造性を拡張する「生成AI」の時代へと到達した。この壮大な進化の軌跡を、各時代のエポックメイキングな出来事とともに紹介する。


Ledge代表メッセージ
70年の叡智を、日本の力に。協調が拓く「次の産業革命」
AI誕生から70年。この長い歳月は、ブームやバブルといった言葉では片付けられない、人類の「研究」と「挑戦」の歴史そのものです。 私たちは今、その歴史の最先端に立ち、産業を本質的にアップデートする責任を負っています。
足元を見れば、エネルギーや半導体への投資が活発化し、インフラ、ネットワーク、セキュリティといった領域の重要性が再認識された数年でした。しかし、強固なインフラはあくまで土台に過ぎません。その上で花開く研究開発(R&D)の深化こそが、日本の国際競争力を決定づける鍵となります。
70年分の叡智と新しいアイデアを結集し、日本固有のデータを守りながら、AIの真のポテンシャルを見極める。 そして、研究領域と産業界が手を取り合い、「協調」して次世代へと繋いでいかなければなりません。
Ledge.aiは、この歴史的転換点において、客観的かつ正確な事実を届け続けます。 過去70年の重みを受け継ぎ、未来の情報インフラとして貢献していく所存です。
株式会社レッジ 代表取締役社長
小瀧 健太

2025年のAIを振り返る
驚異的なペースで進化する「生成AI製品」の最前線から、大手企業によるAI活用の義務化やAI役員の設置といった経営戦略レベルへの浸透、そして国家間のインフラ構築競争、さらにはアート・エンタメ業界のクリエイティブの危機まで、2025年のAIを取り巻く全貌を記事で解説。
過去、そして現在のAI
理論の力と”意識・ひらめき”の謎
甘利俊一氏
本記事は、甘利博士への独占インタビューを基に、AI研究の黎明期から現代LLMが抱える課題、そして知性の未来までを縦断する、壮大な知の旅路である。それは、AIという鏡を通して、私たち自身の知性の本質を再発見するプロセスに他ならない。


量子コンピュータとAIの「リアルな現在地」から「SF的未来」へ
大関真之氏
空前の生成AIブームが世界を席巻する中、技術界の視線は次なる地平へと注がれている。その筆頭に挙げられるのが「量子コンピュータ」だ。メディアではその驚異的な計算能力が頻繁に報じられ、AIの進化を加速させる究極の鍵として、大きな期待が寄せられている。しかし、その輝かしい未来像と研究の最前線にある現実との間には、無視できない大きな隔たりが存在する。
本記事は、単なる技術礼賛ではない。専門家の視点から、量子コンピュータが直面する「不都合な真実」、AIとの融合における「致命的な課題」、そしてそれらを超えた先に見える「SF的な未来」の可能性まで、客観的かつ深く掘り下げていく。
AIの進化を支え続けるNVIDIAの羅針盤
エヌビディア合同会社
現在の生成AIブームを語る上で、NVIDIAの存在を抜きにすることはできない。同社のGPUはAIモデルの学習と推論を支える心臓部となり、その圧倒的な市場シェアは、単なる半導体メーカーという枠を超えた、巨大な影響力を物語っている。NVIDIAがAI時代の覇者となり得た必然性を探る。


「言語の壁」は、もはやイノベーションの言い訳にならない。
DeepL Japan
日本は、OECD加盟国トップクラスの教育水準を誇り、特許保有数は米国、中国に次いで世界第3位。その知的潜在能力は疑いようがない。しかし、多くの日本企業がそのポテンシャルを世界市場で発揮できずにいる。その根底に横たわるのが、深く、そして構造的な「言語の壁」だ。
優れた技術や革新的なアイデアが、「英語ができない」というただ一点の理由で、グローバルなビジネスチャンスから取り残されている。DeepLが提供するテクノロジーが、いかにして日本企業のグローバル化を加速させ、新たな成長への道筋を切り拓くのか、話を伺った。
読んでおくべき
2025年重要ニュースピックアップ
2025年、AIやテクノロジーを取り巻く環境は大きく変化した。基盤モデルの進化、企業による本格的なAI活用、そして新たな社会課題への対応など、多方面で重要な動きが加速している。 本コンテンツでは、Ledge.aiが発信してきた記事の中から、特に注目すべきトピックをキーワードごとに厳選してお届けする。これらの記事を並べて読むだけでも、2025年のAIトレンドの全体像が浮かび上がってくるはずだ。2025年の振り返りとして、今読むべきランドマーク的な記事をまとめている。ぜひ、業界動向の整理や次のアクションの参考として活用していただきたい。

これからのAI
生成AI時代、GPUのオルタナティブ──AMDは今どこを見据えているのか
Advanced Micro Devices, Inc.
半導体大手のAMDはどのような戦略的ポジションを築こうとしているのか。同社は単なる「二番手」に留まるつもりはない。本記事では、AMDへの独占インタビューに基づき、ハードウェアとソフトウェアの両輪で挑む同社の戦略、そしてAIの未来に対する深い洞察の核心に迫る。


基盤モデルとの融合はロボットに何をもたらすのか
Coming soon...
人工知能の知性が宿る抽象的なデータ空間と、ロボットが動く物理的な現実世界。これまで別々の進化を遂げてきた二つの領域が今、急速に融合しようとしている。人間のように思考し、対話し、そして行動するロボット——そんなSFの世界が、いよいよ現実のものになるのではないかという期待が、社会全体を包み込んでいる。
しかし、この技術的変革の波の中で、何が現実で、何がまだ遠い夢なのだろうか。
「基盤モデルがロボットにもたらした革命的な変化」「汎用ロボットが直面する本質的な課題」「そして我々が目指すべきロボットの未来像」を解き明かす。
『PLURALITY』の実践と、多元的協働社会への道筋
青野慶久氏
現代の経営者が直面するパラドックス、それはAIが生産性を飛躍的に向上させる一方で、組織内外の「分断」をも加速させているという現実だ。効率を求めるアルゴリズムは、時にサイロを強化し、意見の対立を先鋭化させる。この新たな課題に対し、単なる対症療法ではない、組織の根本的な「OS(オペレーティングシステム)」のアップデートが求められている。
その設計図となりうるのが、台湾のデジタル担当大臣オードリー・タン氏らが提唱する思想書『PLURALITY(多元性)』だ。PLURALITYが示すビジョンが、単なる社会思想に留まらず、AI時代の分断を乗り越え、企業の競争優位性を築くための極めて実践的なガバナンス・フレームワークであることを明らかにする。


AIを「使わないことが最大のリスク」― AIエージェント時代の企業ガバナンス新常識
Coming soon...
ChatGPTの登場以降、生成AIをめぐる企業環境は目まぐるしく変化した。当初は「便利なツール」として一部で活用されるに過ぎなかったものが、今や事業の根幹を揺るがす戦略的要素となった。しかし、多くの日本企業は「情報漏洩や著作権侵害といったリスクをどう管理すべきか」という懸念と、「導入しなければ競争に取り残される」という焦燥感の間で、有効な一手を打てずにいる。
AIが自律的に稼働する「エージェント」時代の到来を見据え、企業はガバナンスのあり方をどう変革すべきか。その核心に迫る。
編集部後記
この特集をご覧になって、あなたは今、AIについて何を思っているでしょうか。
1956年、夏のダートマス会議で「人工知能(AI)」が誕生してから、私たちはこの2026年でちょうど70年という節目を迎えました。本特集で辿った70年年表は、AIが決して直線的に進化してきたわけではないこと、期待と裏切り、そして「冬の時代」を乗り越えてきた粘り強い挑戦の歴史であったことを物語っています。
この特集では、パーセプトロンからTransformerへと至るAIの70年のルーツを掘り下げました。甘利俊一先生のような先駆者の功績に光を当てつつ、AIの未来を切り開く最先端研究者、そして技術を支えるキープレイヤーへの取材を通じ、AIがもはや学術的な夢ではなく、私たちの社会と産業の基盤となっている現実を描き出しています。
今、世間は「AIバブル」という熱狂の中にあります。金融的な熱狂はいつか冷めるかもしれませんが、年表が示すように、AIの進歩そのものは止まることはありません。ブームが去り、喧騒が静まったとしても、その背後で技術は着実に進化を続けます。
私たちの願いはただ一つ、この特集が読者の皆さまにとって、生成AI革命という現象を一時的なブームとしてではなく、70年の歴史の上に成り立つ冷静な知性として捉えるための羅針盤となることです。
次なる時代への希望と責任を胸に、また日々のニュースでお会いできれば幸いです。
スポンサー






